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2007/12/29

太宰治の「人間失格」を読んでみた(DS文学全集)


「世間が許さないというけど、世間というのはあなたでしょう」

世間=個人の主張、価値観という考えが面白いな〜
というか、個人の意見を広く肯定させようとして、
「世間」という大きな集合体の力を借りたいんだよね。

「科学の嘘」「統計の嘘」「数学の嘘」

1千万人が1日に3粒の米を食べ残すとどれだけ無駄になるとか、
1千万人が1日に鼻紙1枚を節約するとどれだけパルプが浮くとか。
そんな数えられない仮説を事実として恐怖することの無意味。

莫大な量の中の、
ほんの一部の危険や罪を恐れたり、躊躇うより、
細かいことを気にせず、少数派は切り捨て、
大胆に、効率よく、合理的に事を進める。
その鈍感力が、世間慣れして大人になるということだよね。

人を疑うことを知らないがゆえに起こった悲惨。
無垢の信頼心は罪だと言うのか。
正しく生きようと思っても、
力なき正義は無力なり、正義なき力は暴力なり。
その暴力によって、人は人を傷つけてしまうもの。
自分の身を守るための知恵は必要ですよね。

それにしても、なんでこんな都合よく女を落としていくのよ!
言い換えれば、無節操なんだけど(^^;
それで、女を不幸にして、自分も不幸になる。
しかも、因果応報だから救えない。

自分は生きている価値がないんだと、自己嫌悪に陥って、
死にたいと思うのは、今の時代でいう鬱病でしょうか。
そして、廃人となり人生を諦める。

人の顔色を伺い、自分を偽り、目標も信念もなく、
ただ周りに流されるだけの自発心のない生き方じゃダメってことね。
かなり酷い話だけど、精神的にいろいろ考えさせられる作品でした。