2007/9/21
「火垂るの墓」(★★★★☆)
1988年 高畑勲。
蛍の光のように果敢なく散った幼い命。
思えば、初めてビデオデッキを買ってもらって、
最初に見た映画が、この作品でした。
幼い兄と妹が悲惨な最期を遂げる、
あまりに辛くて悲しい話だったので、
もう一度見るのが怖いって思うくらい、
トラウマになっちゃったんですよね。
冒頭から、いきなり主人公の死が語られる始まりが、
衝撃的で切なかったです。
焼夷弾の雨が降り注ぐ空襲の怖さ。
ウジが湧く包帯ぐるぐる巻きの姿になった母の痛々しさ。
その時代の生活感がにじみ出るような背景の描写。
そんな中、
サクマドロップを大事に持つ無邪気な節子と
妹を世話する清太の兄妹愛に涙を誘われてしまいます。
あどけなく笑ったり、大声で泣きじゃくる節子と、
声を殺して男泣きする清太で対照的なんですよね。
栄養失調で衰弱しきって、
声が枯れて、目が虚ろになった節子が、
ドロップの代わりに、おはじきを口に入れてるシーンが、
目も当てられないほど気の毒・・・(><;
見終わった後、
あまりに報われない不幸な運命に大泣きして、
どうしようもない虚無感に襲われて、鬱になってしました。
ただ、大人になって見直してみたら、
これを安直に戦争が生んだ悲劇として、
解釈するのに抵抗が出てきたんですよね。
どうも、反戦とか説教くさいのは苦手なんです。
節子のためを思うなら、清太が我慢して、
おばさんの家に置いてもらえばよかったんだけど、
そんな社交的に振舞えるのは、大人の思考でしょう。
坊ちゃん育ちで、思春期の清太は、
戦時下の貧困状態でなかったとしても大人社会に対応できず、
若さゆえの過ちで、自由で独立的な生き方を選んだかもしれません。
でも、
14歳の子供一人で、4歳の子供を養えるほど、現実は甘くない。
その結果、子供だけで生きていく術もなく、
清太の間違った行動で、節子を死なせてしまい、
心の支えを失った清太も、その報いを受けて力尽きてしまう。
トリュフォーの「大人は判ってくれない」のような見方をすると、
この2人の自滅的な死が、よりいっそう不憫に思えてくるんです。
みんなのシネマレビュー
http://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=2074
「火垂るの墓」(★★★★☆)
1988年 高畑勲。
蛍の光のように果敢なく散った幼い命。
思えば、初めてビデオデッキを買ってもらって、
最初に見た映画が、この作品でした。
幼い兄と妹が悲惨な最期を遂げる、
あまりに辛くて悲しい話だったので、
もう一度見るのが怖いって思うくらい、
トラウマになっちゃったんですよね。
冒頭から、いきなり主人公の死が語られる始まりが、
衝撃的で切なかったです。
焼夷弾の雨が降り注ぐ空襲の怖さ。
ウジが湧く包帯ぐるぐる巻きの姿になった母の痛々しさ。
その時代の生活感がにじみ出るような背景の描写。
そんな中、
サクマドロップを大事に持つ無邪気な節子と
妹を世話する清太の兄妹愛に涙を誘われてしまいます。
あどけなく笑ったり、大声で泣きじゃくる節子と、
声を殺して男泣きする清太で対照的なんですよね。
栄養失調で衰弱しきって、
声が枯れて、目が虚ろになった節子が、
ドロップの代わりに、おはじきを口に入れてるシーンが、
目も当てられないほど気の毒・・・(><;
見終わった後、
あまりに報われない不幸な運命に大泣きして、
どうしようもない虚無感に襲われて、鬱になってしました。
ただ、大人になって見直してみたら、
これを安直に戦争が生んだ悲劇として、
解釈するのに抵抗が出てきたんですよね。
どうも、反戦とか説教くさいのは苦手なんです。
節子のためを思うなら、清太が我慢して、
おばさんの家に置いてもらえばよかったんだけど、
そんな社交的に振舞えるのは、大人の思考でしょう。
坊ちゃん育ちで、思春期の清太は、
戦時下の貧困状態でなかったとしても大人社会に対応できず、
若さゆえの過ちで、自由で独立的な生き方を選んだかもしれません。
でも、
14歳の子供一人で、4歳の子供を養えるほど、現実は甘くない。
その結果、子供だけで生きていく術もなく、
清太の間違った行動で、節子を死なせてしまい、
心の支えを失った清太も、その報いを受けて力尽きてしまう。
トリュフォーの「大人は判ってくれない」のような見方をすると、
この2人の自滅的な死が、よりいっそう不憫に思えてくるんです。
みんなのシネマレビュー
http://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=2074